深緑の森1798人疾走
第10回勝山恐竜クロカンマラソン(勝山市、市教委、実行委主催、福井新聞社共催)が8日、かつやま恐竜の森(長尾山総合公園)を発着点に開かれた。県内外から過去最多の1798人が出走、深緑に囲まれた林間コースを駆け抜けた。
勝山恐竜クロカンマラソン2キロ小学1、2年親子の部をスタートするランナー=8日、勝山市の長尾山総合公園(杉本拓磨撮影)
開会式で大会長の山岸正裕勝山市長は「森の中の起伏あるコースと、標高差が220メートルある渓谷ルートを走る全国でもまれなレース。日頃の練習の成果を発揮し、思い出深いレースにしてほしい」と激励した。
マラソンは20キロを皮切りに2、3、5、10キロの計34部門が次々とスタートした。県内唯一のクロスカントリーとあって、ランナーはアップダウンの続くコースを楽しみながら、ときには歯を食いしばって走り抜いた。20キロ種目は恐竜の森を抜け、さらに山あいの恐竜化石発掘現場を折り返した。
ゲストランナーの五輪メダリスト、君原健二さんと有森裕子さんは、子どもたちと触れ合いながらマラソンの楽しさを伝え、地元の生徒たちは演奏で応援。ランナーには充実の汗が光っていた。ウオーキングの2部門は思い思いのペースで景色を楽しみながら歩いた。
ゴール前 声掛け、タッチ
有森さん、走者 勇気づけ
第10回大会を記念して、女子マラソン五輪メダリストの有森裕子さん(47)がゲストランナーとして参加。「ラストスパート」「手を振って」。ゴール付近でへとへとになったランナーを力強い声援と身ぶり手ぶりで励まし、完走へと導いた。
レース前のサイン会には長蛇の列ができた。有森さんは「すべてを力に」と色紙やゼッケンに書き込み、選手を激励。開会式では「皆さんのベストでゴールを目指してください」と呼び掛けた。
小学1、2年親子の部(2キロ)の参加者と一緒に走った有森さんはゴール後、ランナーの後押しに専念。ゴール付近の坂道を何度も上り下りし、ランナーとハイタッチしたり、並走して勇気づけた。
5キロに出場し、有森さんとタッチした今井めぐみさん(43)=敦賀市=は「最後の上り坂がきつくて歩きそうだったけれど、裕子さんが女神に見えて、力を振り絞れた」と感激の様子だった。
有森さんは、勝山クロカンマラソンについて「自然豊かで素晴らしいコース。恵まれた環境でランニングを楽しんで」と爽やかな笑顔を見せていた。
メキシコ五輪マラソン銀メダリストで「かつやまマラソン大使」に委嘱されている君原健二さんがゲストランナーとして出場。73歳という年齢を感じさせない足取りでゴールした。
第2回以降、毎回ゲストとして大会を盛り上げている君原さん。コンディションは万全でなかったというが、小学4年男子の部の子どもたちと一緒に2キロを完走した。
レース前のサイン会では、帽子やTシャツに「努力を糧にゴール無限」と力強い文字で書き込み、選手とがっちり握手。君原さんは「すっかり勝山がなじみになり、毎年ここへ来ると懐かしい感じがする」と穏やかに話していた。
○…サッカー北信越リーグ1部サウルコス福井の選手2人が20キロに挑戦した=写真。
同市がサウルコスを「かつやま恐竜サッカー大使」に委嘱している縁で平尾和広、冨山裕太の両選手が参加した。
平尾選手は「マラソンは自分との闘いで、つらさがよく分かった。サッカーに生かしたい」と汗をぬぐった。冨山選手は「きつかったけど、途中で気持ちよくなった」と、すがすがしい表情だった。
家族で元気に宣誓
○…選手宣誓は勝山市旭町2丁目の内田さん一家6人が務めた。開会式前は「緊張する」と話しながらも、本番では息の合った宣誓を披露し、大役を果たした=写真。
父・正一さん(41)と次男の大貴君(9)、母・美保さん(42)と次女の詩織さん(6)はそれぞれ親子の部で2キロに出走。長男の直輝君(14)は3キロ、長女の愛梨さん(10)は2キロにエントリーした。
子ども4人がそれぞれ「僕たち」「私たちは」「美しい自然を肌で感じながら」「完走目指して楽しんで走ります」と元気に発声し、最後に全員で「頑張ります」と力強く誓った。
演奏や踊りで応援
○…恐竜の森では、市内の子どもたちがおもてなし演奏やダンスでランナーを後押しした=写真。開会式会場では、同市遅羽町の「みむろ太鼓」が太鼓演奏で選手たちを出迎えた。コース上では勝山南部、中部、北部の3中学の吹奏楽部が練習の成果を披露した。
スタート付近では北部中の約30人が陣取った。ヤングマンやディズニーメドレーなど軽快な曲に合わせながら、ポンポンを持ってダンスも披露しランナーを送り出した。1年の林花さんは「暑かったけど、みんなに元気をあげられた」と満足げに話していた。
海外から唯一参加
○…今大会で唯一、海外からエントリーした森田博志さん(56)=写真=に「よーきとっけたの賞」が贈られた。
森田さんは福岡県出身でマレーシア在住。「かつやまマラソン大使」の君原健二さんと親交があり、勝山市内に親戚がいる縁で参加した。日本在住時からクロカンマラソンに出場しているが、約1年前にマレーシア移住してからは初となる。「勝山はきれいで気持ちいい。また来たい」と笑顔で話していた。